8・19「マレーシアの試み」

「中央省庁再編から丸五年たち再々編しなくてはいけないかもしれない」。自民党幹部の発言だ。役所の組織をコロコロ変えるのもどうかと思うが、今の霞ヶ関の組織は私たち市民にやさしくないことだけは確かだ。総務省は何をやっている役所か分からない人も多いだろう。生活排水でも下水道は国土交通省、浄化槽は環境省だ。

  中央省庁のあり方を見直すなら、「消費者省」をつくるべきだ。昨年のJR西日本の脱線事故、アスベスト被害、構造計算書の偽装などの事件で忘れてならないのは、企業の利益より消費者の安全ということだ。しかし、鉄道会社や建設業者を監督する国交省が乗客や住民の利益を本気で考えることができるのか。日本の役所は、国交省に限らず、病院は厚生労働省、農家は農林水産省、家電メーカーは経済産業省などとそれぞれ業界を持っている。これでは、役所は消費者の味方か業界の味方か分からない。また、消費者にとって、たらい回しをされながら、担当の役所を見つけて苦情や不満を言うのは大変だ。

  消費者からのすべての苦情を一手に引き受けて、霞ヶ関の中で消費者の利益を代弁する役所がほしい。消費者のための「消費者省」である。消費者の力が強くなれば優れた企業しか生き残れない。企業の国際競争力も高まっていく。省庁再々編をやるなら、その目玉は消費者省の設置だ。